美容室の多店舗展開|外部統計で分かること・分からないこと【2026年版】
業界動向・トレンド

美容室の多店舗展開|外部統計で分かること・分からないこと【2026年版】

2026年8月21日20分で読める

美容室の多店舗展開|外部統計で分かること・分からないこと【2026年版】

本記事で扱う3つの外部統計から市場規模、美容所数、倒産動向は確認できますが、チェーン化率や多店舗出店数は分からないため、外部環境と自社の出店判断指標を分けて読む必要があります。市場、施設、倒産は発表主体、時点、対象、単位が違い、一つの多店舗化トレンドには合成できません。

この記事では、各統計から分かることと分からないことを整理し、既存店のKPI、PL、人員余力と対応づける出店環境ボードを示します。外部値は前提条件であり、出店可否の判定値ではありません。最新値は各統計の公表を確認してください。

美容室の多店舗展開で確認できる外部統計の範囲

多店舗展開で確認できる市場・施設・倒産の外部統計
多店舗展開で確認できる市場・施設・倒産の外部統計

市場・施設・倒産は別々の外部指標

本記事でいう多店舗展開の外部環境とは、市場規模、美容所数、倒産動向という異なる統計を、それぞれの時点・対象・限界を保って出店検討の前提条件として整理したものです。金額、施設数、倒産件数を一つの指数に加工しません。

市場規模・美容所数・美容師数の出典を確認するときと同じく、値の横に発表主体、統計名、時点、対象、集計単位を置きます。比較表では「分かること」と「分からないこと」も同じ行に残します。

チェーン化率・出店件数は今回の統計にない

本記事で扱う外部統計には、美容室のチェーン化率、多店舗企業数、多店舗による年間出店件数の値がありません。市場規模、美容所数、倒産件数から新しい比率や件数を計算しても、必要な母数と定義がないため根拠ある推計にはなりません。

不足する値は「該当値なし」と明記します。「多店舗化が進んでいる」「出店が増えている」といった方向も、今回の3統計だけから断定しません。最新の別統計を使う場合は、その公表主体、時点、対象を改めて確認します。

外部指標値・時点発表主体・出典分かること分からないこと
美容室市場規模1兆3,543億円、2024年2月調査株式会社リクルート「美容センサス2024年上期」、2024年6月25日発表調査条件内の市場規模推計地域別出店余地、チェーン化率
美容所数26万9,889軒、令和4年度厚生労働省「令和4年度 衛生行政報告例」美容所の施設数法人比率、多店舗企業数、増減方向
美容室倒産235件、2025年帝国データバンク「『美容室』の倒産動向(2025年)」、2026年1月6日発表TDB基準内の倒産件数多店舗チェーンの倒産率、出店成功率
チェーン化率・多店舗出店数該当値なし該当統計なし今回の3統計では確認不可数値の補完・推計はしない

出店環境を読む3つの統計

市場規模・美容所数・美容室倒産を個別に読む図
市場規模・美容所数・美容室倒産を個別に読む図

2024年調査の市場規模

株式会社リクルートが2024年6月25日に発表した「美容センサス2024年上期≪美容室・理容室編≫」では、2024年2月調査による美容室市場規模の推計は1兆3,543億円、前年比マイナス0.1%です。人口20万人以上都市の15〜69歳男女1万3,200人を対象とした民間調査です。

この値から調査条件内の市場全体は確認できますが、候補地域の需要、競合、自社業態の売上や成長性は分かりません。更新値は確認できていないため、最新値はリクルートによる同調査の公表を確認します。

令和4年度の美容所数

厚生労働省「令和4年度 衛生行政報告例」による美容所数は26万9,889軒です。報道で同統計を出典として引用される公表値で、単位は事業者やブランドではなく施設数です。統計本表自体は未確認という取得上の制約も残します。

単年度の施設数から、増加・減少の方向、法人比率、チェーン化率、候補地の競争状況は判断できません。利用時は最新値を厚生労働省「衛生行政報告例」の公表で確認し、年度を省略しないでください。

2025年のTDB倒産統計

帝国データバンクが2026年1月6日に発表した「『美容室』の倒産動向(2025年)」では、負債1,000万円以上・法的整理を基準とした2025年の美容室倒産は235件です。美容室倒産統計の集計基準と一緒に引用します。

これは同社基準内の年間件数であり、多店舗チェーンだけを母集団とする倒産率や新規出店の失敗率ではありません。個社の出店・撤退判断へ転用せず、最新値は帝国データバンクの公表を確認します。

異なる統計を一つのトレンドに合成しない

異なる発表主体・年度・単位を分ける統計カード
異なる発表主体・年度・単位を分ける統計カード

発表主体・年度・集計単位を分ける

市場規模は株式会社リクルートの2024年2月民間調査による金額推計、美容所数は厚生労働省「令和4年度 衛生行政報告例」の施設数、倒産は帝国データバンクが2026年1月6日に発表した2025年の件数です。対象年も単位も一致しません。

一つのグラフへ置く場合も、共通の増減系列として線で結ばず、独立した統計カードにします。各行に発表主体、統計名、調査・対象時点、単位、取得上の制約を付け、更新時も値だけを差し替えません。

外部統計だけで成長・撤退を決めない

市場規模が大きいことは候補地の需要を示さず、美容所数は既存店の収益性を示しません。帝国データバンクが2026年1月6日に発表した2025年の235件も、自社店舗の撤退条件を示す値ではありません。

外部統計は、業界環境について経営会議で確認する前提資料です。出店や撤退を検討する際は、既存店の売上、KPI、店舗別PL、人員余力、候補地に関する自社調査を別に揃えます。統計から不足情報を補完しないことが重要です。

多店舗本社の出店環境ボード

外部統計と自社指標を並べる出店環境ボード
外部統計と自社指標を並べる出店環境ボード

外部統計は前提条件として置く

出店環境ボードでは、市場規模、美容所数、倒産統計を独立した行にします。外部指標、発表主体・時点、分かること、分からないこと、追加で必要な自社指標、判断を委ねる専門記事を並べ、統計の役割を限定します。

数値を更新する担当は公表元を確認し、参照日と資料名を残します。最新値は各統計の公表を確認し、同じ名称でも対象や集計基準が変わっていないかを確認してから旧値を更新します。

既存店のKPI・PL・人員余力を別列に置く

自社側には、既存店の確定売上、共通定義のKPI、店舗別PL、スタッフの配置と異動余力、候補店の条件を置きます。外部統計の金額や件数を自社の目標値へ流用せず、それぞれのデータ源、対象期間、確認担当を付けます。

外部行分からないこと追加で確認する自社情報
市場規模地域別需要、自社業態の成長性商圏調査、既存店KPI
美容所数多店舗企業数、候補地の競争候補地情報、既存店の商圏
倒産件数個社の収益、人員、撤退条件店舗別PL、人員余力、管理記録

この対応表は判断基準ではなく、外部情報だけで欠ける社内確認項目を明らかにするためのボードです。

GO/WAIT判定は既存専門記事へ委譲する

本記事は多店舗展開の手順や判定基準を扱いません。実行の全体順序は多店舗展開ロードマップ、既存店データによる判断は新規出店の判断方法で確認してください。

初めて次店舗を検討する場合の具体的なGO/WAITは、2号店の出店タイミングへ委譲します。出店環境ボードは、各判断へ進む前に外部の前提と自社データの不足を確認する位置づけです。

美容院HUBで持つ自社側の情報

美容院HUBで店舗情報・確定売上・KPIを揃える範囲
美容院HUBで店舗情報・確定売上・KPIを揃える範囲

店舗マスタと店舗横断KPIを揃える

美容院HUBでは、店舗マスタ、店舗横断の売上集計、本社ダッシュボード、KPIレポートを使い、既存店の店舗情報、確定売上、共通定義のKPIを本社で揃えられます。各値に対象店舗と期間を付け、外部統計とは別の自社列として管理します。

出店環境ボードから自社情報を確認するとき、店舗名の揺れや集計期間の違いを減らすことが目的です。店舗別PLや人員情報など外部システムで確定する値は、出所と更新担当を明確にして対応づけます。

出店可否の自動判定は行わない

美容院HUBは、外部統計の自動取得、商圏需要の推計、出店可否の自動判定を行いません。担うのは、判断材料となる店舗情報、確定売上、KPI、確認記録を本社で一元化し、同じ定義で参照できる状態にする範囲です。

経営判断では、外部統計の制約、自社データ、候補地調査を確認し、担当者が判断根拠を記録します。システム上に値が揃ったことと、出店条件を満たしたことを同一視しないでください。

美容室の多店舗展開と外部統計に関するよくある質問

Q1. 美容室のチェーン化率は分かりますか?

本記事で扱う外部統計には、美容室のチェーン化率、多店舗企業数、多店舗の出店件数がありません。株式会社リクルートの市場規模、厚生労働省の美容所数、帝国データバンクの倒産件数から比率を作ることもできません。

必要な母数と定義がないため、欠落値は推計せず「該当値なし」と記載します。別の統計を使う際は最新の公表主体、時点、対象を確認してください。

Q2. 市場規模が大きければ出店余地がありますか?

市場規模だけでは出店余地を判断できません。株式会社リクルートが2024年6月25日に発表した「美容センサス2024年上期」の1兆3,543億円は、2024年2月に人口20万人以上都市の15〜69歳男女1万3,200人を対象とした市場規模推計です。

地域別需要、競合、自社の店舗形態、既存店の収益は別に確認します。最新値は同調査の公表を確認してください。

Q3. 倒産件数だけで撤退判断できますか?

倒産件数だけでは撤退判断できません。帝国データバンクが2026年1月6日に発表した「『美容室』の倒産動向(2025年)」の235件は、負債1,000万円以上・法的整理を基準とする業界統計です。

自社店舗の売上、店舗別PL、人員、顧客状態、契約などを別に確認し、自社の判断基準に沿って検討します。最新値は同社の公表を確認してください。

Q4. 出店判断にはどの自社データが必要ですか?

既存店の確定売上、共通定義のKPI、店舗別PL、スタッフの配置・異動余力、候補地の自社調査を確認します。外部統計には、これらの個社情報は含まれません。

具体的な実行順序、既存店データによる判断、2号店のGO/WAITは、それぞれの専門記事で確認してください。本記事の出店環境ボードは、判断前の前提と不足情報を揃えるために使います。

まとめ

多店舗展開の外部環境として確認できるのは、株式会社リクルートの2024年2月市場調査、厚生労働省「令和4年度 衛生行政報告例」の美容所数、帝国データバンクが2026年1月6日に発表した2025年の倒産動向です。チェーン化率や多店舗出店数は今回の統計にありません。

3統計を一つのトレンドへ合成せず、既存店のKPI、PL、人員余力を別列で確認してください。出店環境ボードで外部の前提と自社の不足情報を整理し、最新値は各統計の公表を確認したうえで、具体的な判定を専門記事へつなげます。


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著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

YDAIコンサルティング株式会社の代表として、多店舗事業の情報設計と管理業務の整理に携わる立場から、本記事の構成と内容を確認しています。

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