
美容室の就業規則|10人判定と多店舗の作成・届出【2026年版】
美容室の就業規則|10人判定と多店舗の作成・届出【2026年版】
美容室の就業規則は、常時10人以上を使用する事業場ごとに作成・届出義務を判定するのが原則で、多店舗本社は店舗別判定と全店統一規則を両立させる必要があります。事業場は店舗等の場所的単位で判定するのが原則的な取扱いですが、独立性の判断が難しい店舗、本社併設、複合拠点などは管轄労働基準監督署へ確認してください。
法人全体の人数だけで一律に結論を出すと、義務がある事業場を見落としたり、各事業場で必要な手続きを混同したりします。この記事では、常時10人以上の判定、意見聴取、届出、周知を店舗行へ分解し、本社共通版と店舗差分を管理する方法を整理します。
美容室の就業規則とは|義務と手続き早見表

就業規則の定義と必要記載事項
就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成し、行政官庁へ届け出る必要がある職場共通のルールです。変更した場合も同様に届出が必要となります。(出典:労働基準法第89条)
必ず記載する事項には、始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、交替制、賃金の決定・計算・支払、退職・解雇事由などがあります。退職手当、安全衛生、職業訓練、表彰・制裁など、制度を定める場合に記載する事項も分けて確認します。
| 区分 | 主な事項 | 本社の確認点 |
|---|---|---|
| 必ず記載する事項 | 労働時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職 | 共通版と店舗運用の整合 |
| 定める場合に記載する事項 | 退職手当、安全衛生、訓練、表彰・制裁等 | 制度の有無と対象事業場 |
| 店舗ごとの確認情報 | 常時人数、適用版、確認日 | 義務判定と手続き状態 |
個別の雇用条件は、多店舗の変更範囲を含む雇用契約書で確認します。就業規則は職場共通のルール、労働条件通知書は個別契約時の明示という役割を分け、両方の内容が食い違わないようにします。
作成・意見聴取・届出・周知の全体像
就業規則は、作成して本社に保管するだけでは一連の手続きを満たしません。当該事業場の過半数労働組合、組合がない場合は過半数代表者の意見を聴き、届出時に意見書を添付します。(出典:労働基準法第90条)
届出後は、常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面交付、その他定められた方法で労働者へ周知します。(出典:労働基準法第106条)本社は、作成、意見聴取、届出、周知を別々の状態として持ち、どこまで完了したかを事業場ごとに確認します。
常時10人以上を店舗ごとに判定する

事業場単位が原則となる考え方
労働基準法第89条は「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に作成・届出義務を定め、第90条と第106条は「当該事業場」を単位に手続きを定めています。行政解釈上も、事業場は店舗等の場所的単位ごとに判定するのが原則的な取扱いです。
ただし、すべての店舗を名称や所在地だけで機械的に別事業場と断定できるわけではありません。本社と店舗の独立性、本社併設店、複合拠点など個別の事業場性は、組織と指揮監督の実態を示して管轄労働基準監督署へ確認します。
法人合計と店舗人数を混同しない
多店舗チェーンでは、法人全体の従業員数と、各事業場で常時使用する労働者数を分けて記録します。法人合計が10人以上という事実だけから、すべての店舗について同じ義務状態だと一律に結論づけるのは適切ではありません。
一方で、店舗行の人数だけを見て、本社や複合拠点との関係を無視することも避けます。入社・異動・退職の変更手続きと連動し、人数の変化を把握したら義務判定の確認日を更新します。
| 店舗・事業場 | 常時使用する労働者数 | 義務確認 | 意見聴取 | 届出 | 周知 | 管轄確認 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 店舗A | 本社で確認 | 未確認・確認済み | 状態を記録 | 状態を記録 | 状態を記録 | 確認日・回答 |
| 店舗B | 本社で確認 | 未確認・確認済み | 状態を記録 | 状態を記録 | 状態を記録 | 確認日・回答 |
| 本社併設・複合拠点 | 実態を確認 | 個別に確認 | 必要な単位を確認 | 必要な単位を確認 | 対象を確認 | 労基署へ確認 |
この判定マップは、本社が確認漏れを防ぐために本記事で独自に整理した確認表です。人数の数え方や事業場性を自動判定するものではなく、個別判断は管轄労働基準監督署へ確認します。
判断が難しい店舗形態は管轄労基署へ確認する
独立した店長や勤務体制を持つ店舗、本社と同じ場所にある店舗、複数機能が同居する拠点では、場所だけで結論を出しにくい場合があります。本社は組織図、勤務場所、指揮監督、人数の状況を揃え、管轄労働基準監督署へ確認します。
確認結果には、対象拠点、確認日、相談先、説明した実態、回答内容、再確認が必要になる条件を残します。別店舗の過去回答をそのまま流用せず、組織再編や移転、人数変動があったときに見直すことが重要です。
就業規則を作成・変更して届け出る3ステップ

ステップ1 店舗別の作成義務を判定する
最初に、店舗や拠点ごとに常時使用する労働者数と事業場性を確認し、作成・届出義務の状態を記録します。法人合計の人数を店舗へ割り当てるのではなく、事業場単位が原則であることを踏まえて店舗行を作ります。
判定が難しい場合は、未確認のまま義務なしとせず、管轄労働基準監督署への確認を担当と確認予定へ結び付けます。労働時間の規定と実績把握の関係は、多店舗本社の労働時間管理と分けて整理します。
ステップ2 過半数組合・代表者の意見を聴く
作成または変更する就業規則について、当該事業場の過半数労働組合、組合がない場合は過半数代表者の意見を聴きます。労働基準法第90条が求めるのは意見聴取と、届出時の意見書添付です。
本社共通版を使う場合も、対象事業場、意見を聴いた相手、実施日、意見書、使用した規則版を対応づけます。意見聴取と同意を同じ意味で扱わず、個別の進め方に疑義があれば専門家や管轄労働基準監督署へ確認します。
ステップ3 意見書を添えて届け出て周知する
意見聴取後は、意見書を添えて就業規則を届け出ます。届出済みになった後も、労働者への周知が別に必要なため、届出日と周知状態を一つの完了欄へまとめないことが重要です。
周知方法は、見やすい場所への掲示・備え付け、書面交付、その他定められた方法から、各事業場の運用に合う方法を確認します。本社は対象規則版、届出、周知方法、実施日、確認者を店舗単位で追います。
全店統一規則と店舗別差分を管理する

本社共通部分と店舗差分を分ける
多店舗本社は、全店で共通にする方針と店舗固有の勤務条件を分けて規則を設計します。共通版を作ることと、義務のある事業場ごとの意見聴取、届出、周知を行うことは別の管理課題です。
多店舗のルール・規程標準化を土台に、共通本文、店舗差分、適用対象、確認先を明確にします。店舗固有の差分が法定要件や他の労働条件と整合するかは、必要に応じて専門家へ確認します。
規則版と変更履歴を店舗単位で揃える
就業規則を変更したときは、最新版のファイルだけでなく、各店舗がどの版を適用しているかを確認します。規則版、適用開始日、意見聴取日、届出状態、周知方法、最終確認日を一つの店舗行へ結び付けます。
旧版と新版が混在する場合は、未更新店舗を抽出し、意見聴取から周知までのどの状態で止まっているかを確認します。変更履歴は本社の操作記録であり、行政への届出控えや意見書そのものと区別して保管します。
美容院HUBで規則の適用状態を管理する

店舗マスタに義務判定・規則版・確認日を持つ
美容院HUBでは、店舗マスタのカスタム項目に、常時人数の確認日、義務判定の確認状態、適用中の規則版、意見聴取、届出、周知を設定できます。店舗情報と同じ行で状態を確認することで、別々の表にある人数と規則版の対応を揃えられます。
これは就業規則を作成したり、事業場性を自動判定したりする機能ではありません。判断と届出は管轄労働基準監督署や必要な専門家へ確認し、美容院HUBは本社が確認情報を継続管理する範囲で使います。
監査ログで確認操作の履歴を追う
本社・店長・スタッフの3層で権限を分けると、規則版や届出状態を更新できる担当を限定できます。監査ログでは誰がいつ情報を更新したかを確認できるため、確認日だけが上書きされる状態を避けられます。
本部・店舗間の情報共有と組み合わせ、周知対象と確認担当を店舗へ戻します。監査ログは行政への届出証明ではないため、意見書、届出控え、周知に使った資料は所定の保管先と対応づけます。
店舗ごとの義務判定や規則版が分散している場合は、まず全店舗について「確認済み・要確認」を分けてください。美容院HUBでは、店舗マスタの共通項目と監査ログで確認状態を一元化できます。
美容室の就業規則に関するよくある質問
Q1. 法人全体で10人を超えたら全店に作成義務がありますか
法人全体で10人を超えたという事実だけで、全店舗の義務を一律に決めるものではありません。事業場、つまり店舗等の場所的単位ごとに常時使用する労働者数を判定するのが原則的な取扱いです。
ただし、本社併設店や独立性の判断が難しい拠点など、個別の事業場性を本社だけで断定しないでください。組織と勤務の実態を揃え、管轄労働基準監督署へ確認します。
Q2. 店舗ごとに同じ就業規則を使えますか
本社共通版を設計することはできますが、共通版があるだけで各事業場の手続きが完了するわけではありません。義務のある事業場ごとに、意見聴取、意見書を添えた届出、労働者への周知状態を確認します。
店舗固有の勤務条件がある場合は、共通部分と差分を分け、どの版がどの店舗へ適用されるかを明確にします。個別の規則設計や届出方法は専門家と管轄労働基準監督署へ確認してください。
Q3. 意見聴取は従業員の同意が必要という意味ですか
労働基準法第90条は、当該事業場の過半数労働組合、組合がない場合は過半数代表者の意見を聴き、届出時に意見書を添付することを求めています。条文上の「意見を聴く」を「同意を得る」と同じ意味には扱いません。
代表者の選出や意見聴取の具体的な進め方に疑義がある場合は、本社独自の解釈で進めないことが大切です。事業場の状況を示し、専門家または管轄労働基準監督署へ確認します。
Q4. 就業規則はどのように周知しますか
就業規則は、常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面交付、その他厚生労働省令で定める方法によって労働者へ周知します。(出典:労働基準法第106条)本社保管だけで周知済みとは扱いません。
店舗ごとに採用した周知方法、対象規則版、実施日、確認者を記録します。デジタルな方法を含む個別の運用が要件を満たすかは、最新の公的情報や管轄労働基準監督署で確認してください。
まとめ
美容室の就業規則は、事業場ごとの常時10人以上という原則を起点に、作成、意見聴取、届出、周知を別々に管理します。法人合計と店舗人数を混同せず、本社共通版を使う場合も店舗ごとの規則版と手続き状態を揃えることが重要です。
まず全店舗について、常時人数、義務判定、適用版、意見書、届出、周知、確認日を一行ずつ並べてください。個別の事業場性や手続き方法は管轄労働基準監督署へ確認し、本社は回答と更新履歴を継続して管理します。
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料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
YDAIコンサルティング株式会社の代表として、多店舗事業の情報設計と管理業務の整理に携わる立場から、本記事の構成と内容を確認しています。
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